日本人の3人に1人が、検索ではなく対話で答えを得ています。
サイバーエージェント GEOラボの調査によれば、日常の検索行動で生成AIを使うユーザーは、2026年2月時点で 37.0% に達しました。9ヶ月前(2025年5月)は21.3%でしたから、9ヶ月で15.7ポイントの上昇です。
20代以上の すべての世代 で利用率が上がっており、50代の伸びは+7.7pt、40代は+6.7ptでした。これは、若年層に限定された現象ではありません。
- 37.0%
- 日常の検索行動で生成AIを利用する日本人の割合(2026年2月)Source: サイバーエージェント GEOラボ / 9,278名調査
- 9億 WAU
- ChatGPT 週次アクティブユーザー数(1年前は4億人)Source: OpenAI公式 / 2026年2月
- 50.1万社
- 2026年の日本法人向け生成AI導入数予測Source: ICT総研 / 2025年7月
そして、AI回答のなかで特定のブランドが言及される確率を、AthenaHQ が国際調査で測定しています。「State of AI Search 2026」によれば、平均は 17.2%、上位のブランドは 56.7% でした。
3.3倍の差は、AI上での市場シェアとして、すでに固定されつつあります。
気づいている人は、すでにほぼ全員です。
株式会社IDEATECH(リサピー®)が2026年4月に公表した「LLMO時代の調査PRに関する実態調査」によれば、日本の広報・PR担当者の 約9割 が、生成AIの回答に自社情報が引用・言及されることを意識している、と答えています。
一方で、その引用・言及を実際に 効果測定の指標として追えている 担当者は、わずか2.4% にとどまっています。
「意識している」と「測定して動いている」の間に、これだけの差があります。
多くの担当者は、何を測ればいいか、何を直せばいいか、その手前で止まっています。日本市場では、「AIから見た自社」を計測する手段が、まだ広く流通していないからです。
AI時代には、自社サイトと第三者ソースの紐付けこそが重要です。
Scrunch AI の調査が、Bain & Company のレポートに引用されています。非ブランド検索クエリ ―「最も信頼できる保険会社は」「東京で最高のラーメンは」のような問いかけ ― に対するAI回答の 90%以上が、第三者ソースから構成されている そうです。ブランドが言及されているクエリでも、60%以上は非ブランドソースです。
つまりAIは、自社サイトの情報「だけ」を見ているわけではありません。
ブランドを語っているのは、第三者のレビュー、クチコミの投稿、フォーラムのスレッド、そして 百科事典の記述。そして、それらと紐付いた自社サイト です。
ここで重要なのは、AIは「自社サイト vs 第三者ソース」の二項対立で情報を扱っているわけではない、ということです。AIは、両者を 組み合わせて ブランド像を構築しています。
そして、組み合わせるための前提条件があります。自社サイトが、第三者ソースと正しく紐付いていること、です。
たとえば、構造化データに sameAs(Wikipedia や Wikidata への参照宣言)が入っているか。プレスリリースで配信した内容が、自社サイトの記述と整合しているか。AIクローラーに対して、自社サイトが開かれているか。自社の主要な事実 ― 創業年、本社所在地、製品ラインナップ ― が、複数の参照源で一致しているか。
これらが揃っていなければ、AIは自社サイトの情報を、第三者ソースで補強できない 孤立した主張 として扱います。結果、ブランド像はほぼ第三者ソースだけで構成されます。
つまり、自社サイトの整備は、AI時代において、もう「自社が何を発信するか」の問題ではなく、「自社サイトが、AI上のブランド像にどう寄与できるか」の問題に変わっています。
その現状を、別の角度から見たデータがあります。
Decibel Venture Capital のレポートでは、Fortune 1000 のウェブサイトのうち 75%以上が、AIエージェントによる適切なクロールに対応していない と指摘されています。技術的に、自社サイトをAIに読ませる準備すら、ほとんどの企業ができていません。
Comcast NBCUniversal LIFT Labs の分析では、自社のAIプラットフォーム上の露出を追跡している企業は わずか16% にとどまっています。
- 75%+
- AIクローラーによる適切なアクセスに対応していない Fortune 1000 サイトの割合Source: Decibel VC / 2025
- 16%
- 自社のAIプラットフォーム露出を追跡している企業の割合Source: Comcast NBCUniversal LIFT Labs / 2026年2月
整備するためには、まず、自社サイトの現状を見るところから始まります。AIから見て、自社サイトが、どう見えているか。第三者ソースと、どう紐付いているか。あるいは、紐付いていないか。
ハルシネーション率15%超による、ブランド毀損の影響。
大半のLLMで、ハルシネーション率(事実と異なる情報を出力する確率)は 15%超 を維持している、と複数のベンチマークが報告しています。Vectara の最新リーダーボードでは、モデルごとに大きな差はあるものの、上位モデルでも数%、平均的なモデルでは15%を超えるケースが珍しくありません。
AI Overviews(Googleの生成AI回答)でも、ニューヨーク・タイムズの2026年4月の調査によれば、9〜15%が不正確な情報 を含んでいる、と指摘されています。
確率15%は、「20回に3回」起きるということです。大量に生成・配信されるAI回答のなかで、自社に関する誤情報が一定の確率で表示される、ということでもあります。
そして、それは「想定上のリスク」ではなくなりつつあります。日本の法廷で、現在進行形で争点になっています。
損害賠償 約21億6,800万円。2025年2月から6月までの間に、読売新聞オンラインの記事 11万9,467本 を無断で取得・複製したとされています。日本の大手報道機関による、生成AI企業への初の提訴です。
損害賠償 各社 22億円、計 44億円。robots.txt による利用拒否の意思表示を無視され、paywall 内の有料記事まで使用されたとされています。両社の社名・記事タイトルを表示しながら、元記事と異なる内容や誤情報を含む回答を提示する行為が、社会的信用を毀損する不正競争行為(営業誹謗行為)に該当する、と主張されています。
生成AIで作成された画像に著作権があると認定された、日本初の刑事摘発です。被害者が2万回以上のプロンプト入力で生成した画像であることから、「創作的寄与」が認定されました。
イリノイ州シカゴの連邦地裁に提訴。補償的損害 30万USD + 懲罰的損害 1,000万USD(計約1,030万USD)を請求。ChatGPT による「非弁行為」(無資格法律業務)、契約への不法干渉、訴訟手続の濫用が論点です。日本企業による対 OpenAI 訴訟の初期事例です。
朝日・日経の訴状で注目されているのが、その法的構成です。両社は、不正競争防止法第2条1項21号の 「営業誹謗行為」 を主張しました。これは、AI回答内の誤情報によるブランド毀損 を、日本の法廷で正面から争った最初の事例だと言われています。
AI事業者ガイドラインは1.2版まで進みました。AI推進法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)は2025年9月に全面施行されています。制度は、少しずつ整っています。
ただ、自社がAI上でどう語られているかを、能動的に観測する手段は、いまだに多くの日本企業の手元にありません。
グローバルでは、投資額$400M超が動いています。
「AIから見た自社」を計測し、改善する領域には、英語圏ですでに名前がついています。
Answer Engine Optimization(AEO)。Generative Engine Optimization(GEO)。
そして、このカテゴリには、すでに資本が流れ込んでいます(金額は累計調達額。円換算は1ドル=160円)。
Profound は、わずか18ヶ月で 10億ドル(約1,600億円)評価額 に到達しました。Fortune 500 の10%、700社以上のエンタープライズ顧客を抱えています。同社のCEOは、これを「マーケティングの歴史で最大の地殻変動」と表現しています。
このカテゴリは、海外ではすでに動き出している、と言えそうです。
「やるか、やらないか」の問題ではなく、「いつ始めるか」です。
LLMの学習データは、過去のWeb情報の積み重ねです。整合性の高い情報を早期に確立した企業は、LLMの参照優先度が長期的に高くなります。SEOで先行者がドメイン権威を10年かけて積み上げてきたのと、同じ構造です。
後発が同じ参照優位性を獲得するには、より多くの整備工数と、より多くの広告投資が必要になります。
観測についても、同じです。今日からの時系列データだけが、明日の意思決定の根拠になります。時系列データは、過去に遡って蓄積することができないからです。
2026年の問いは、もう「AIに対応すべきか」ではなく、「いつから観測を始めれば、3年後の自社が、AIから正しく語られる側に立てるか」になっています。
- 94%
- 2026年にAEO投資を増やす計画のグローバルCMOSource: Conductor / State of AEO/GEO 2026
- 67%
- Fortune 500 CMOがGEOをトップ3優先事項として認識(2024年は18%)Source: Marketintelo / Q4 2025
海外のCMOの94%は、2026年にこの領域への投資を増やすと答えています。海外のマーケティング組織が、「AIから見た自社」を計測することを、経営課題として位置づけ始めた、ということです。
日本は、まだ、その入口の前にいます。
入口の前に立っているということは、まだ、選択肢がある、ということでもあります。
自社の名前は、AIから見て、どう見えているでしょうか。
その問いから始まる無料の診断ツール「CWO Site Audit」を公開しています。
観測から始まる、というだけのものです。